あの頃の誰か

最終更新日時:2011-04-21 19:14:03
東野圭吾



概要:
以下の作品からなる短編集。
短編集はいずれもバブル時代近辺に書かれたものらしく、今頃になって発売された「わけあり」作品とのこと。

・シャレードがいっぱい
・玲子とレイコ
・再生魔術の女
・さよなら「お父さん」
・名探偵退場
・女も虎も
・眠りたい死にたくない
・二十年目の約束

感想:
どの作品も「わけあり」と言われるだけあって、文句なしにおもしろい、、、という感じではなかったです。
というか、東野圭吾はやはり長編でこそ力を発揮するのかな~と感じました。
とはいえつまらないというわけではありません。
例によってサクサクと読めるので、通勤通学中に読む本としては最適かもしれません(笑)
以下、それぞれの作品の感想を。

**以下ネタバレ有り**

- シャレードがいっぱい
バブル全盛期の話。
主人公の津田弥生が、まさにバブル期の女という感じでかなり笑えるwww
それだけでなんだか懐かしい感じになり楽しめます。
ミステリーとしては、よくある遺産相続系の話で普通と言えば普通か(^_^;

- レイコと玲子
いわゆる二重人格系の話。
この手のミステリーは個人的には好きではないです。
話としてはおもしろいし、途中までは話に完全に引き込まれたのですが、二重人格の話が出てきた時点でちょっと興ざめ。
最後のオチもよくある話でちょっと残念。
登場人物とかストーリーは良かったので、あとはミステリー的な要素から二重人格を排除してくれればかなりの良作になりそうなのだが。。。

- 再生魔術の女
これはおもしろかった。
養子を斡旋した産婦人科の看護師である中尾章代がとにかく怖いwww
最後は一方的に種明かしして、峰和を精神的に追いつめて自殺して終了という感じだが、この辺をもっとふくらませればさらにおもしろいはず。
そういう意味では長編で読みたくなる作品ですね。

- さよなら「お父さん」
これが今回のウリなのかな?
あの「秘密」の原型となった作品。
しかし、はっきり言ってこの短編自体はおもしろくも何ともない。
これを読まずに「秘密」を読むべき。
「秘密」を読んでからこれを読むと、よくあそこまで話をふくらませたな~と感じます。
そういう意味では読んだ価値があったかもwww

- 名探偵退場
簡単に言えば、暇を持て余した自信満々な名探偵が、計略にはまって自信を無くし、退場するといった内容w
なんというか、こういうミステリー作家にとって自虐的な話を書かせたら東野圭吾は天下一品ですな。
評価が非常に分かれそうな気がするが、個人的にはおもしろかったです。
いわゆる天下一シリーズはこういう形で締めくくるというオチもあったと思うのだが、もう使えないのね(笑)

- 女も虎も
おもしろいかというと微妙(^_^;
しかし、お題に対してショートショートで返すという意味では、なかなかのもの。
上手い!と思った。
感心したけど作品としてはどうだろう、、、という一作www

- 眠りたい死にたくない
これ、タイトル見ただけでなんとなく想像できるでしょうwww
そんななんの捻りもないところが、個人的には好きです(笑)
そしてこの作品のおもしろいところは、タイトルからして絶体絶命の状態のはずなのに、なぜか暢気な主人公目線。
必死にならなくてはいけないはずなのに、人ごとのようにこうなってしまった経緯を振り替える。
ブラックですな(笑)
いわゆるシリアスなミステリーだけでなく、こういうミステリーが書けるところが東野圭吾の良いところです。

- 二十年目の約束
なんというか非常にもったいない作品。
最後のオチは個人的には秀逸だと思うし、いわゆるハッピーエンドで視界良好、気持ち良い作品だと思います。
しかし、子供を作らない理由としては全く納得いかないし、最後に証拠として亜沙子に託したものが相当すごいものが出てくると思っていたので、ちょっとその程度ではな、、、、という感じ。
全体的なストーリーはそのままで、その辺の精度を上げれば傑作になったのではないかと思うんだけどな。
ま~若かりし頃の作品だし、、、と言ってしまえばそれまでだが。
読後感は良いので、最後にこの作品を持ってきたのは正解だと思います。

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