アルジャーノンに花束を

最終更新日時:2010-11-11 17:19:13
読書の秋

概要


著者:ダニエル・キイス
訳:小尾 芙佐
出版:早川書房

主人公のチャーリイは知的障害のため幼児並の知力しか持っていなかった。
ところがある日、彼はある大学教授から、開発されたばかりの脳手術を受けるよう勧められ、手術を受ける。
この手術に先んじて、動物実験を行ったハツカネズミ「アルジャーノン」は、驚くべき能力を示していた。
手術後、チャーリイのIQはどんどん上昇し、ついには超人的な天才となった。
しかし、先に手術を受けていたアルジャーノンに異変が起き、今度は逆にどんどん退化していってしまうことが判明。
やがてチャーリイにも同じく退化が始まり、ついには元の知的障害者へと戻ってしまう。

感想


「全世界が涙した現代のバイブル」と紹介されているこの本だが、正直なところあまり感動はしませんでした(^_^;
ただ、この本はなかなか深く考えさせられますね。
とにかく頭が良く、勉強だとか仕事さえできればそれでよい!なんて人には共感できない作品でしょう。
また、主人公チャーリイの視点で書かれているため、最初の頃は簡単な言葉や単純な視点でのみ描写されているが、徐々に事細かく複雑な描写へと変わり、最後にはまた元の頃のような描写となります。
これが、読み手に対して間接的に成長もしくは退化を表現することになり、非常に秀逸だと思います。

ただ、最終的にはまた知的障害者に戻ってしまい、ストーリー的には結局なんだったんだ、、、、的な終わり方であることは否めないので、読後感はあまりよくないです(^_^;
特に、老化とともに能力が失われていくことは例外なく誰もが経験すること。
既に老化を感じている私としては、自分とチャーリイがオーバーラップしてしまって、とても寂しい気持ちになりました(/_\*)

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