張り込み姫

最終更新日時:2013-01-18 16:24:44
読書の秋



君たちに明日はない 借金取りの王子の続編です。
本作品は、これらの作品を読んでからがおすすめ(^_^;

これまで同様リストラ斡旋会社の社員「真介」が主人公の短編集です。
ターゲットとなる企業のモデル企業が分かりやすいのは相変わらずwww

以下の短編からなります。

・ビューティフル・ドリーマー
・やどかりの人生
・みんなの力
・張り込み姫


感想


軽快で読みやすい文章なのは相変わらず。
気軽に読める作品ですね。
ただ、率直に言って、このシリーズは第1作目が秀逸で徐々にスケールダウンしているような。。。(^_^;
ということで、今回はやや辛口かも。
それでも何となく読んでみたくなってしまうシリーズです。


ビューティフル・ドリーマー


英会話学校の話です。
この業界についてはよく描かれているな~という反面、人物の心理描写がいまいちのような。
このシリーズの特筆すべき点の1つは、やはりリストラされる側の葛藤を描くことだと思うのですが、本作のターゲットである武田優子という人物はその辺りが非常に希薄で魅力がないと思います。
せっかく業界についてはよく描けているのに、ちょっともったいない感じがしますね。


やどかりの人生


旅行代理店の話です。
もらっている報酬から、自分が稼がなくてはいけない売り上げを算出し、その分だけきっちりと仕事をする、、、という本作のターゲット。
見事なまでに、私とかぶります(/_\*)
なので非常に感情移入できるはずなのですが、リストラのターゲットとしてはまったく魅力がありません(笑)
実際、私もリストラできるものならしてみれば??的な気分ですしwww
そういった意味では、既に人物設計の時点で破綻しているような。。。
しかも、その後作家の道が開ける、、、といった話もリアリティが無いですよね~
と思いつつも、本作のターゲットは実は昔の垣根涼介自身だったのか!?という気も。
転職後旅行代理店に勤め、その後作家を目指した、、、らしいですからね。
実はこんなリストラ劇があったりしたんでしょうかw


みんなの力


自動車ディーラーの話です。
ターゲットはいわゆる職人気質な整備士、宅間幹夫。
こんな整備士がいたら、そりゃ大人気だよな~という客からすれば非の打ち所のない整備士。
一方、会社からすると、持っている技量からすると売り上げへの貢献が少ない問題児、、、という感じでしょうか。
今回の4つの話で唯一手放しで楽しめたのがこの作品です。
宅間の心理描写が非常によく描かれており、とても感情移入でき、結末が気になります(^_^;
最後は、、、タイトルの通りとなりハッピーエンド。
ま~率直に言ってかなりのご都合主義だと思いますが、それでもこういうハッピーエンド的な話が私は好きなので、読後感は最高でした( ̄ー ̄)


張り込み姫


出版社の話です。
出版社と言っても役どころはいろいろあるわけですが、本作のターゲット日野恵の配属先はいわゆるゴシップ系の週刊誌の編集部。
こちらの部署についての描写はなかなか秀逸!
本作品はリストラ系作品としてはかなりイマイチ感がありますが、いわゆる特ダネをゲットするために日々戦っているチームとしての話であればなかなかのおもしろさですね。
そういった意味では、後者がネタ降り的な感じで、最終的には前者がクライマックスとなっている本作の構成は非常に残念です(^_^;

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