笑わない数学者

最終更新日時:2013-11-11 00:00:00
読書の秋




作品紹介


偉大な数学者、天王寺翔蔵博士の住む「三ツ星館」。
ここでは以前、庭にある巨大なオリオン像を博士が消してみせたことがあるらしい。
そこで開かれたパーティの席上、博士は庭にある大きなオリオン像を再度消してみせた。翌日、再びオリオン像が現れ、それとともに2つの死体が。
犀川と西之園萌絵コンビが館の謎と殺人事件の真相に迫る。


感想


とにかく、会話が変態的な理系の会話なので、そこでまず評価が分かれそうですね(笑)
理系出身の私としては、なかなかニヤリとさせられる会話でしたが。
トリック自体は至って簡単で拍子抜けですが、最後の最後の謎がよく分からず、お話しとしてはおもしろいのですが、やや不完全燃焼気味な読後感でした。


***以降ネタバレあり***

まんまと作者の術中にはめられたようです(/_\*)
最後の謎があまりに意味不明なのでちょっと調べてみたのですが、どうもこの作品はこんな表層的な評価をすべき作品では無い作品のようですね。
トリックが簡単であるのは作者の想定内のこと。
作品内の人物達がなかなか解明できないトリックを読者が簡単に分かってしまうのは、作品外から読んでいるからである、、というスタンスのようです。
従って、簡単にトリックが分からないと話にならないわけですね(^_^;

作品中に「神のトリック」というキーワードが出てくるのですが、いわゆる地動説も、現世に生きる我々には当たり前のことですが、太古の人々には長らく解明することが出来なかったという話にも触れられます。
そして、最後の最後の謎。
この謎は、登場人物達の手によっては明かされません。(不定。つまり解明できない)
しかし、作品外から見ている読者であれば解けるでしょう!というコンセプトのようです。
図にすればこんな感じでしょうか。

トリック仕掛け人解明しようとする人々トリック
地球上の人々空ではなく地球が動いていることを数千年かけて解明
博士作中人物達主人公が苦戦の末解明
作者主人公および読者不定である(解明できない)


3つめのトリックについては、作中では「不定」と、解明できないことが明言されています。
しかし、最初の2つのトリックについては、現世であり作品外の我々は容易に解明できるわけで、言わば作品外の神たる位置にいる読者であれば、この最後の謎も解明できるであろう、、、というのが作者の意図のようです。
これを某氏の解説では、「魔術的なリフレイン」と表しているようですね。
いやいやいやいや、こんなに奥深い作品だったとは!!
この解説を書いた人はホントにスゴイと思います。
この構想はホントに素晴らしいし、実際しっかりと表現されていて傑作だと思います。

ところが、、、この最後の謎、結局個人的にはシックリと来る解答が導け出せません(/_\*)
いろいろ各所の解説を見てみたりしたのですが、どうも微妙なものしかないように見えます。
こじつけようと思えば、確かにそうだけどねぇ、、、という感じです。
ここまで数学を題材にしただけに、非常に論理的で明確な切り口だったので、この最後の謎も単純明快な解答があると思ったのですが。。。
率直に言って、ここが非常に残念!!
もしかしたら明快な素晴らしい解答が存在し、一部の人はその解答に手が届いているのかもしれませんが、そんな一部の人達にしか楽しめない作品なんてどうかと思いますし。
他にも動機が微妙だったりとかツッコミ処はいくつかあるのですが、この最後の謎の解答が(少なくとも私には)存在しないという点だけが、非常に残念ですね。
ここがバシッと決まっていれば、ホントに久々に大傑作と絶賛できる作品だと思います。

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