インセプション

最終更新日時:2010-08-23 17:42:17
映画

概要


クリストファー・ノーランが10年ほど前から構想を練っていたという作品。
主人公のコブ(レオナルド・ディカプリオ)は、人の夢(潜在意識)に入り込むことでアイディアを盗み取るという特殊な産業スパイ。
そんなコブにに、大企業のトップのサイトー(渡辺謙)が仕事を依頼する。
依頼内容は、ライバル会社の社長の息子ロバートに、会社を解体させるようアイディアを植えつける(インセプション)というもの。
この依頼を妻モル殺害の容疑をかけられ、子供に会えずにいるコブは、犯罪歴の抹消を条件に仕事を引き受ける。
古くからの相棒のアーサー、夢の世界を構築する「設計士」としてスカウトした女子大生のアリアドネ、他人になりすましターゲットの思考を誘導する「偽装師」のイームス、夢の世界を安定させる鎮静剤を作る「調合師」のユスフをメンバーに加え、作戦を決行。
果たしてインセプションは成功するのか。。。

感想


まずは素直に、とてもおもしろかったです。
正直かなり分かりにくい内容だと思うのですが、不明な点はいくつか残ったとしてもストーリー的には普通に楽しめますし、アクションも迫力あり。
無重力等の特殊なシーンも良くできており、映像的にも非常に楽しめると思います。
キャスティングも良い感じで、渡辺謙も良い演技をしてます(笑)

***以降、ネタバレ有り***

内容が内容だけに、インセプションの感想となると、ほとんどネタバレしないわけにはいきません(^_^;

まずは、最大にして最後の難問。
エンディングは夢なのか現実なのか、、、、ですな。
個人的にはトーテムが回り続けていたように見えたので、飛行機で目が覚めて以降の話は全て夢(何階層目かは知らんが)だと考えたのですが、ネット上でいろいろ見てみるとそう単純なものでもないらしい(^_^;
完全に自分的には手に負えない状態になっているので、ざっと取得した情報を羅列しておきます(^_^;
とりあえず、「ノーランがわざと分からないようにしている」が一つの正解であることは間違いなさそうですが。
以下のような見解があるようです。

夢派
・子供が成長していない
・スタッフロールに子供役の名前が2つあるが、実際には1人しか出ていない

現実派
・最後のフェードアウトする際にコマが揺れていた
・娘の靴が夢の中の靴とは違う。夢の中では黒っぽい靴だったが、最後はピンクのスニーカー。着ている服も違う

などなど。
それにしても、このエンディングの結果によっては全く印象が違ってきますね。

現実であれば、全員生還、ミッション達成。ロバートも会社をつぶしてしまうかもしれないが、父親との確執を解消。
コブは子供と暮らすことが出来、全てが丸く収まるこれ以上ないハッピーエンド。
夢であれば、少なくともサイトーとコブは虚無に落ちたままの植物人間状態。超バッドエンド。

次にこの作品を理解するのに不可欠となる、夢の階層の原理。
某所に日本語版に修正した画像があったので、拾って貼っておきます。


その他の情報、感想など:

・虚無に落ちたサイトーは老人となっていたが、コブはサイトーほど年を取っていないように見える
→サイトーはコブより先に虚無に落ちた。虚無の方が時間の進み方が早いので、第3階層ではわずかでも虚無階層ではかなりの時間が経過していた。
・各層でキックの時間を合わせる必要はあったのか
→今回は強力な鎮静剤を使用したので、単層でのキックでは戻れない危険性があった。
・各層の時間軸の進め方が秀逸。たまにバンが落ちるシーンに切り替わることで緊迫感増大。
・スタッフロールのときの曲が目覚めの合図の曲だったのは笑えた。
もう夢から覚めなさいということか(笑)

その他の疑問点:
翻訳の問題もかなりあるのかな。。。

・「キック」は強制的に1階層上に覚醒させる手段なのに、後半キックの強制力が無くなっている。
キックされているのに、コブがサイトーを探しに行く、、、といったような
・1層目が無重力になったら2層目も無重力に。しかし、3層目は無重力になっていない。
1つ下の層にしか影響しないということでも良いのだが、作品中で説明されていた?
・強い鎮静剤下で死ぬと虚無(limbo)に落ちて戻れなくなるという話だが、サイトーもロバートも1階層下に落ちただけ?
それとも、1階層下だと思っていたのは虚無階層?
だとしたら、コブは虚無階層への行き方を知っていた?
虚無階層は単に第4階層?
・虚無=第4階層だとしたら、虚無に落ちたサイトーは老人となっていたが、第4階層のロバートは年を取っていないように見えるのはなぜ?
・冒頭の夢と最後の虚無のシーンで老サイトーが同じこと言ってるのはなぜ?

個人的な見解:

ここまでを総合して、各疑問点について個人的な見解を書いておきます。
もちろん勝手に推理推測した結果ですので、何の保証もしません(^_^;

まず、最大の争点。エンディングが現実か夢か、、、、ですが、ファーストインプレッションではコマが回り続けていたように見えたので夢だと思ってました。
しかし、他の疑問点を考察した結果、つじつまがあってきたので、現実だと思うことにします(^_^;
決定的な根拠は見つかっていないので、現実でも夢でもつじつまはあってしまうのですが(^_^;
ノーランがわざと分からないようにしていると思うので、考えても仕方がないとも思いますし。

さてそうなると、コブとサイトーはどうやって虚無階層から帰ってきたか、、、ということになりますが、これは最後のシーンでサイトーが銃を手にしたことから、自殺して戻ってきた、、、となるのでしょう。
なぜサイトーは老人になるまで自殺しなかったのか、、、が少々疑問ですが、サイトー自身が虚無階層にいることを認識出来ていなかった、、、と考えれば一応つじつまが合います。
その次。虚無階層でサイトーが冒頭と同じことを言っているのはなぜか、、、ですが、虚無階層は潜在意識が共有された場所のようなので、冒頭でエクストラクトされた際の意識が投影されたと考えることができます。
城が冒頭と同様であることも同様に考えることが出来ると思います。
さらに、同じ虚無に落ちたサイトーとロバートのうち、なぜサイトーの方が年を取っていたのか、、、、ですが、これは正直よく分かりません(/_\*)
強いて言えば、実はサイトーの方が死ぬのが早く、ロバートはコブが虚無に行く寸前で死んだ、、、と解釈をつけることができますが。
そうなると問題となるのが、第4階層=虚無という定義。
なぜなら、コブやサイトーを見る限り、第4階層で何十年も経過しているように見えるので、その前に少なくとも第3階層でのキックは発生しており、死んでいないコブは強制的に上階層に戻るはずなので。
実際に第1階層でサイトーとコブは水中で動いておらず、第1階層上では死んでいると思われる。
ところが、第4階層≠虚無、つまり虚無階層は第3階層の下ではなく、特殊な階層(例えばとても深い階層)だとすると、虚無階層で数十年経過しても現実世界ではわずかな時間(もしくはゼロ?)しか経過していないことになり、キックが影響しなかったことも矛盾しない。
もしくは、会話から判断すると、虚無階層からは上位階層のキックでは帰還できない(植物人間状態)と見なすことも出来る。
実際、他のメンバーが飛行機で目覚めた時にはコブとサイトーは植物人間状態だったが、その後目覚めたと考えることも出来る。
そうなると、コブは虚無階層に死なずに行くことが出来る方法を知っていたということになるが、それは妻と一緒に構築したという話で出てきているので問題ない。
ということで、ストーリー的には、、、、
死んで虚無に落ちてしまったロバートとサイトーを探しに、アリアドネ、コブがコブの夢で虚無に行く。
ロバートを発見し、ロバートとアリアドネがビルから飛び降りて自殺(?)することで上位層に戻る→ロバートが第3階層で父と和解→他のメンバーと一緒に現実へ
コブはサイトーを探しに放浪。
城でサイトーを発見し、2人で自殺(?)することで上位層に戻る→飛行機で覚醒
虚無から一気に現実に戻れるというところがかなり強引だが。。。。
それとも各層で既にキック済みなので一気に現実に戻れるとかそういうことなのだろうか。
やはり微妙だ。。。。(/_\*)

しょうもない疑問

・アリアドネをわざわざスカウトした意味は?
結局のところ、アリアドネが特殊な能力を持っていたというわけでもないし、設計士は誰でも良かったのでは?(^_^;
・サイトーが危険を冒してついていった意味が分からん(^_^;
危険だということを知らなかったのかもしれんが。

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