使命と魂のリミット
東野圭吾
あらすじ:
予想だにしなかった術中死で父を失った氷室夕紀。
それをきっかけに心臓外科医を目指すこととなり、父の執刀医西園の元で研修医として勤務している。
あの日、手術室で何があったのか、、、、まさに解明されようとするその日に、手術室を前代未聞の危機が襲う。
感想:
いわゆる普通の謎解きのあるミステリーではなく、天空の蜂のようなクライシス・サスペンスです。
医療サスペンスということで専門用語のオンパレードですが、そこは東野圭吾らしく非常に読みやすく、一気に最後まで読めました。
特に終盤の緊迫感はさすが。
各所に散らばっている伏線が最後に見事に1本の線になる様は非常に心地よいですが、その反面あまりにうまく話が出来すぎているきらいがあります。
また、最後の締めは東野圭吾にしては非常につまらない終わり方。
画竜点睛を欠く、、、という感じです。
一方、この作品中の登場人物は、各人ともに使命を持って行動をしており、非常に考えさせられます。
医者や警官はもちろん、単なる一般市民、はては我々の使命とは。。。。
**以下ネタバレ有り**
全体としては文句なくおもしろかったのですが、以下のような不満もあり。
・夕紀の父は、結局なぜ術中死してしまったのかが気になる
・手術に失敗した医者とその妻が恋愛関係になるのは少々不自然
・犯人が心変わりしてしまうのはさすがに強引。心変わりするのであればもう少し理由付けが欲しいところ
・島原の術後の様子が気になる。本当に犯人の思いは島原に伝わったのか
そして何より、最後の締め。
「2度目のお父さんは、絶対に死なせないから」
この終わり方は無いでしょう!
何というか、東野圭吾らしくない非常に陳腐な終わり方。
おまえ、上手いこと言ったとか思ってるんじゃないのかあああああああああああああああ!!
と、突っ込みを入れたくなりますな。
これが非常に残念。。。