夜明けの街で
東野圭吾
あらすじ
主人公の渡部は30代後半。
既に結婚し、子供もいる。
その渡部の働く会社に、派遣社員の仲西秋葉がやって来た。
ふとしたことから2人の距離は急速に縮まり、ついには越えてはならない一線を越えてしまう。
しかも、秋葉の家庭は複雑な事情を抱えていた。
両親は離婚し、母親は自殺。
さらに、彼女の実家では15年前に殺人事件が起きていた。
事件が時効を迎えたその時。。。
感想
面白かったですが、ミステリー小説というよりも不倫ものとして読んだ方が良いですね。
さすがの人間描写で、読んでいるこちらがいたたまれない気持ちになってきます(^_^;
そして、自分もこうなってしまうかも、、、といった少々の恐怖感も(/_\*)
**以下ネタバレ有り**
ミステリー的には、とにかく秋葉の動機がいまいちのような気がする。
東野作品は動機がいまいちなことが多い。。。
事件の真相自体は簡単に予測できたのではないかと思います。
どう考えても秋葉が犯人であるといった状況で、本当に犯人が秋葉であればおもしろくない。
そこで一捻りあると思うのが普通だろうし、ということは秋葉は犯人ではなく、にも関わらず完全に否認しないところが不自然。
ということで、結局2人が勘違いして隠蔽工作をしたのだということは容易に想像が付く。
そして、ここで思い出されるのが、浮気したら殺す云々の発言。
さすがに、諸処の伏線が一本に繋がる爽快感は素晴らしい。
しかし、ではなぜ秋葉が最初からやってないと言わなかったのだという話に当然なるのだが、この動機が非常に弱い。
秘書は本気だったのに、実際には叔母との不倫のカモフラージュとして使われて捨てられたから、、、ということなのだろうが、そんなことで15年間も頑張るかね~
そして、最後に渡部との不倫自体もこのためのお芝居という結末。
なんじゃこりゃーーーーーーという感じですな。
そんな芝居をするほどの動機が全く見えない。
というわけで、ミステリー的にはかなりいまいちと言わざるを得ない。
しかし、主人公の人間描写はピカ一の出来!
なので、ミステリー要素なしに、不倫小説として仕上げれば良かったのではないかと思います(笑)